本革と合皮(合成皮革)のいちばん大きな違いは、動物の皮を鞣した「革」か、布などの基材に合成樹脂を塗って革のように見せた「革ではない素材」かという点です。
2024年に見直されたJIS(日本産業規格)では、「革・レザー」と呼べるのは動物由来のものに限られ、合皮に「レザー」という名称を使うことは不適切とされました。
この記事では、JISの定義と消費者庁の品質表示のルールを並べて、本革と合皮の違い・見分け方・選び方を整理します。財布を選ぶときに素材欄のどこを見ればよいかも、実際の商品の表示を例に解説します。
【結論】本革と合皮の違いを一覧で比較
まず、公的な定義と表示ルールから分かる違いを一覧にまとめます。
| 項目 | 本革(革・レザー) | 合皮(合成皮革・人工皮革) |
|---|---|---|
| 原料 | 動物の皮を腐敗しないように鞣したもの | 織布・編物・不織布などの基材に、ポリ塩化ビニル・ポリウレタンなどの合成樹脂面を付けたもの |
| JISでの名称 | 「革」「レザー」「本革」「天然皮革」と呼べる | 「革」「レザー」は使えない(フェイクレザー・PUレザー等も不適切な表現) |
| 表面の加工 | 塗装・表面層の厚さが0.15mm以下なら革として扱う | 表面は合成樹脂面 |
| 品質表示の書き方 | 牛革・羊革・馬革など、動物の種類で表示 | 「合成皮革」(特殊不織布を基材にしたものは「人工皮革」とも表示できる) |
| 使い心地の傾向 | 水に弱く、合皮より重い一方、長持ちしやすく経年変化を楽しめる | 樹脂の種類・加工方法に応じた取扱い上の注意(色落ち・硬化・劣化等)の表示が求められる |
ポイントは、「見た目や手触り」ではなく「何でできているか」で区別されていることです。そのため見た目だけで判断するより、商品の素材表示を確認するほうが確実です。
本革とは?JISで決められた「革・レザー」の定義
JIS(JIS K 6541「革(レザー)-用語」)では、革・レザーを「皮本来の繊維構造をほぼ保ち、腐敗しないようになめした動物の皮」と定義しています。「本革」や「天然皮革」はこの革・レザーを指す言い方です。
表面に塗装や樹脂の層がある場合でも、その厚さが0.15mm以下であれば革(レザー)として扱われます。一方、革を粉砕して繊維や粉末にし、シート状に固め直したもの(革の成分を50%以上配合)は「皮革繊維再生複合材」と呼ばれ、革・レザーとは区別されます。原料が動物の皮でも、「ボンデッドレザー」「再生革」のような呼び方は誤りとされています。
動物の皮が「革」になるまでの鞣しの工程や種類は、次の記事で詳しく解説しています。

合皮とは?合成皮革と人工皮革の違い
合皮は「合成皮革」の略で、JISの整理では、動物由来でない“レザー調”の素材は「合成皮革」「人工皮革」「皮革繊維再生複合材」に分類されます。どれも「革」「レザー」という名称は使えません。
| 合成皮革 | 基材に織布・編物・不織布などを使い、表面にポリ塩化ビニル・ポリアミド・ポリウレタンなどの合成樹脂面を付けて、革の外観や感触・光沢・柔軟性を似せたもの |
|---|---|
| 人工皮革 | 基材に特殊不織布を使い、合成樹脂面を付けて銀付き革調にしたもの、または立毛させてスエード調・ベロア調・ヌバック調にしたもの |
| 皮革繊維再生複合材 | 革を繊維状・小片・粉末状に粉砕したものを乾燥質量で50%以上配合し、シート状などに加工したもの |
消費者庁の品質表示のルール(家庭用品品質表示法の雑貨工業品品質表示規程)でも、合成皮革のうち基材に特殊不織布を使ったものは、「合成皮革」に代えて「人工皮革」と表示できると定められています。つまり人工皮革は合成皮革の一種で、基材の違いで呼び分けられていると理解すると分かりやすいです。
本革と合皮の見分け方は「素材表示」を確認するのが確実
本革か合皮かを確実に見分けるには、見た目や匂いではなく、品質表示や商品ページの「素材」欄を確認するのが基本です。消費者庁の品質表示の規程(革・合成皮革を使った衣料の例)では、革は「牛革」「羊革」「馬革」のように動物の種類で、合皮は「合成皮革」と表示するよう決められています。
ただし、この表示義務の対象品目(雑貨工業品)として挙がっているのは、革・合成皮革を使った衣料や手袋、かばん、靴などで、「財布」という品目はありません。財布を選ぶときは、ブランドの商品ページに書かれた素材欄を自分で読むことが大切です。
素材欄を読むときは、次の3点に注目すると判断しやすくなります。
1. 部位ごとの素材を確認する
本革財布でも、裏地には合皮を使っている商品があります。たとえばキプリスの「ラウンドファスナーハニーセル長財布」は、公式ページの素材欄に「表側:牛革 内側:牛革(蝋引き加工) 裏地:合皮」と部位ごとに書かれています。表地が本革かどうかと、内装・裏地の素材は分けて確認しましょう。
2. 「〇〇レザー」という名前だけで判断しない
JISでは、フェイクレザー・PUレザー・ビニールレザー・ヴィーガンレザーなど、革ではない素材に「レザー」を付けた名称は不適切な表現とされています。ただしJIS自体に法的な拘束力はないため、商品名に「レザー」と付いていても、素材欄で「牛革」等か「合成皮革」かを確かめるのが確実です。
3. 合皮の取扱い表示を確認する
表示対象の品目では、合成皮革を使う場合に使っている樹脂の種類や加工方法に応じた取扱い方法(色落ち・硬化・劣化、保存・手入れの注意)を具体的に表示するよう求められています。合皮を選ぶ場合は、この注意書きまで読んでおくと購入後のトラブルを避けやすくなります。
本革と合皮はどちらを選ぶべき?読者タイプ別の判断基準
ここまでの定義と表示ルールを踏まえると、本革と合皮は「どちらが上か」ではなく、何を重視するかで選び分けるのが合理的です。
| 重視すること | 向いている素材 | 理由 |
|---|---|---|
| 長く使い、経年変化を楽しみたい | 本革 | 長持ちしやすく、使い込むほど個体ごとに異なる経年変化を楽しめる |
| 雨の日の水濡れや重さを気にしたくない | 合皮 | 本革は水に弱く、合皮に比べて重いとされる |
| 動物由来の素材を避けたい | 合皮・人工皮革 | 原料に動物の皮を使わない |
| スエードのような起毛の質感が欲しい | 本革のスエード、または人工皮革 | 人工皮革にはスエード調・ベロア調・ヌバック調に仕上げたものがある |
| 素材表示どおりの「本物の革」を確実に選びたい | 素材欄に動物名(牛革など)が書かれた商品 | JISでは「革・レザー」は動物由来に限られる |
財布は毎日手に触れ、ポケットやバッグの中で擦れる道具なので、長く使うことを前提にするなら本革、軽さや水濡れへの気楽さ、動物由来を避けることを優先するなら合皮、と考えると選びやすくなります。
本革財布を選ぶなら:素材表示まで確認できる3モデル
本革の財布を選ぶ場合の具体例として、公式ページで素材・価格・収納を確認できる3モデルを紹介します。素材欄の書き方もあわせて比べてみてください。
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| 商品画像 | ![]() | ![]() | ![]() |
|---|---|---|---|
| ブランド・商品名 | キプリス|ラウンドファスナーハニーセル長財布(シラサギレザー) | moku|小さく薄い長財布UNO ver.2 Buttero | Hallelujah|TIDY3.0 Zaifuman |
| 価格 | 33,000円 | 31,900円 | 18,888円 |
| 素材 | 表側・内側:牛革/裏地:合皮 | ブッテーロ(植物タンニン鞣し) | ブライドルレザー |
| 収納 | カード入れ21・ポケット2 | カード13枚 | 紙幣20枚・カード10枚・小銭15枚 |
| 向いている人 | 表地は本革でカードを多く持ちたい人 | 経年変化を楽しみたい・小さい長財布が欲しい人 | 価格を抑えて本革を試したい人 |
| 購入 | 商品を見る | 商品を見る | 商品を見る |
価格は税込(2026年10月30日時点の公式ページ)
1 キプリス|ラウンドファスナーハニーセル長財布(シラサギレザー)

表側に牛革、内側にロウ引き加工の牛革を使ったラウンドファスナー長財布です。シラサギレザーは兵庫県姫路市でタンニンとクロームのコンビ鞣しをした革で、公式ページでは使い込むごとに光沢が増すと説明されています。カード入れは21、ポケットは2つで、生産は日本です。
編集者コメント:素材欄に「表側:牛革 内側:牛革(蝋引き加工) 裏地:合皮」と部位ごとに書かれているので、本革財布でも裏地には合皮を使うことがある、という素材表示の読み方をそのまま確かめられる1本です。カード入れ21という収納量もあり、表地は本革にこだわりつつカードをまとめて持ちたい人に向いています。
| ブランド | キプリス(CYPRIS) |
|---|---|
| 価格 | 33,000円(税込) |
| 素材 | 表側:牛革/内側:牛革(蝋引き加工)/裏地:合皮 |
| サイズ | W205×H95×D25mm |
| 収納 | カード入れ21・ポケット2 |
| 生産 | 日本 |

2 moku|小さく薄い長財布UNO ver.2 Buttero

イタリアのブッテーロ(成牛のショルダー部分を植物タンニンで鞣した革)を使った、小さく薄い長財布です。長辺は一万円札(16cm)より0.3cm大きいだけのサイズで、カードは13枚まで入り、財布中央部の厚さは18mmです。
編集者コメント:植物タンニン鞣しのブッテーロは、合皮には無い「使うほど変わる」本革らしさを素材そのもので選びたい人に分かりやすい選択肢です。一万円札とほぼ同じ長さなのにカード13枚まで入るため、長財布の札の入れやすさは欲しいが大きさは抑えたい人に向いています。
| ブランド | moku(ATELIER MOKU) |
|---|---|
| 価格 | 31,900円(税込) |
| 素材 | ブッテーロ(植物タンニン鞣しの牛革) |
| サイズ | 長辺16.3cm・中央部の厚さ18mm |
| 収納 | カード13枚 |

3 Hallelujah|TIDY3.0 Zaifuman

ブライドルレザーを使った、横幅16.5cm・厚み1.0cmの小さい長財布です。紙幣20枚・カード10枚・小銭15枚に加えて予備の鍵1本まで収納でき、外側の専用ポケットで財布を閉じたままタッチ決済ができます。
編集者コメント:3モデルの中で最も手頃な18,888円で、本革のブライドルレザーを選べるのが強みです。厚み1.0cmで紙幣20枚・カード10枚が入るので、価格や薄さを理由に合皮と迷っている人が、まず本革を試す1本として向いています。
| ブランド | Hallelujah(ハレルヤ) |
|---|---|
| 価格 | 18,888円(税込) |
| 素材 | ブライドルレザー |
| サイズ | 横幅16.5cm・厚み1.0cm |
| 収納 | 紙幣20枚・カード10枚・小銭15枚 |

ほかの国産ブランドの本革財布も比較したい場合は、次の記事で価格帯や革の種類ごとにまとめています。


最後に
本革と合皮の違いは、動物の皮を鞣した「革」か、合成樹脂で革に似せた素材かという原料の違いです。JISでは「革・レザー」は動物由来に限られ、合皮は「合成皮革」「人工皮革」として区別されます。
見分けるときは、商品名の「〇〇レザー」ではなく素材欄を確認し、表地・内装・裏地を部位ごとに見るのが確実です。長く使って経年変化を楽しみたいなら本革、軽さや水濡れへの気楽さ、動物由来を避けることを優先するなら合皮、という基準で選んでみてください。
本革の財布を長く使うための手入れ方法は、次の記事で解説しています。
