【評価】山藤(プタハ)の解説と財布徹底レビュー

【評価】山藤(プタハ)の解説と財布徹底レビュー

ここでは山藤という革ブランドを取り上げてどんなブランドなのかを詳しく解説しつつ、実際の財布のレビューもしてみたいと思います。

山藤とは?

山藤は、創業120年を超える日本の革製品を製造・販売する会社です。当初はライセンス商品のOEM制作を行っていましたが、2004年、山藤5代目であり現当主の山本浩司氏の就任後、オリジナルブランドの製作を開始しました。

 

デザイン、生産、販売までを一貫して行い、メイドインジャパンにこだわりを持っています。

 

元浅草アトリエ YAMATOU (店舗兼本社)

 

厳選された上質な素材を使用し、熟練した職人の技術による丁寧なものづくり。現在に至るまでその頑固な精神は守り続けられ、山藤の製品には命が宿っています。手にした人に豊かさと幸せをもたらしているのです。

山藤のブランドシリーズ

山藤には、メンズ向けライン「PTAH(プタハ)」と、レディース向けライン「aqua(アクア)」があります。

 

今回はメンズ向けラインのプタハから、人気ブランドシリーズを厳選してふたつご紹介します。

■ FUUKIN(風琴)

農耕馬の臀部、希少性の高いコードバンを使用して作られたシリーズです。フランス産の原皮を日本の職人が納得のいく革の状態になるまでなめし、自然で美しい光沢感を生み出していきます。

 

 

FUUKINとは、製品に採用している特殊なマチの形状のことを指し、通常内側に折り込まれるマチを外側へ折り、あえて逆に設計したもの。この形状によって品物の厚みを最小限に抑えられ、お札やカードの出し入れをスムーズにします。

 

上品な革と使い勝手の良さは、スマートさを求めるビジネスシーンなどで活躍するでしょう。

■ Bridle ブライドル

牡の成牛、ステアハイドにロウを染み込ませたブライドルレザー。もともと馬具用アイテムに使用されていた素材のため、耐久性、耐湿性、強度に優れています。

 

 

この革の特徴は、表面に浮き出るロウの粉=ブルームがあること。独特な表情を持つブルームは、使用していくうちに次第に革に染み込んで消えていき、艶となっていきます。使えば使うほど味になり、愛着の湧いてくるシリーズです。

ブライドルラウンドファスナー長財布徹底レビュー

山藤の人気シリーズの中からプタハの「ブライドルラウンドファスナー長財布」を実際に手に取って試してみました。

 

 

山藤自慢の厳選素材と、職人のプロの手仕事はどのようなものでしょうか?

■ 素材

開封して一番に感じられるのは匂い。深く濃厚で上質な香りがふわっと立ち込めて、鼻腔をくすぐります。革好きにはたまりません。

 

 

ブライドルレザーの特徴であるブルームは財布ごとにその白い粉の出方が異なります。この個体性こそ、自分だけのものだと感じさせてくれるのです。このブルームが艶へと変化していく、その過程を見届けるのがこの革の醍醐味。まさに自分で育て、あたためていく財布です。

 

内側はイタリアンレザーを採用。丁寧になめして手染めされたオイルレザーの茶色は、それ自身も美しいですが、外側のブライドルレザーの色をより際立たせ、センス良く見せてくれています。

 

 

イタリアンレザーに押印されたブランドロゴは、光を受けたときにさりげなく主張する程度。持ち主にしかわからないこの場所の刻印が、素材を主役にした財布の表れです。

■ サイズ・重量

手に持ってみると、想像していた以上に軽く、コンパクトです。財布は中身を入れるとそれだけでずっしりと重くなるので、本体の軽さは好ポイント。

 

 

革そのものも薄いのですが、内側の奥部分にレーヨンの黒い生地を使用しているので、軽量化に一役買っているのでしょう。オールレザーでないのは納得いかないという人もいるかもしれませんが、長く愛用するにはこういった仕様の工夫がなければ叶いません。

■ ファスナー

ファスナーはYKKの3号。幅4.5oと小さめのアンティークカラーです。ファスナーはあくまで機能としてのもの。主張せず、いたって控えめで存在を感じさせません。

 

 

小さいファスナーは大きいものと比べ操作性が劣りますが、さらさらと動いて比較的スムーズ。しかし、拡大して見てみると、務歯(噛み合わせ部分)に凹凸があるので、若干ガリガリと音が鳴ります。この部分がサビつくとファスナーの通りが悪くなってくるので、寝かせておく期間がある場合は注意が必要です。

 

ツマミにはステッチで強度を増した革を使用しています。長さは約3.5pあり、指の太い人でも扱いやすいでしょう。ただし、やはりダメージが出やすい部分なので、革を渡している丸カンに触れるようにして動かしたほうが長持ちします。

 

 

注目したいのが、ファスナーまわりのテープです。おそらく素材はポリエステルかナイロンで、糸がしっかり張っており光沢感があります。強度に優れているため、長く使いたい財布に適した素材です。

 

 

レーヨンなどが混ざった柔らかい風合いのファスナーテープの場合は、若干の伸縮性と可動域が広がるので使いやすくなります。しかし、パンツのポケットやカバンに入れて持ち歩くと、早々に擦れて毛羽立ってきてしまうのが難点。この部分の使用感が気になってしまい、結果買い替えなければいけません。

 

このファスナーテープが採用されているだけでも、プラス20点したいくらいの高評価です。

■ 縫製

縫製は丁寧で、まっすぐなラインを描いています。革の余白幅も均一に整列されており、見ていて安心感を覚えるほどです。

 

 

カードスロットを分割する、縦に入ったステッチの終わり部分は返し縫いがされており、耐久性がアップ。カード入れは出し入れを頻繁に行なうため、ステッチがすぐにほつれてしまいます。この返し縫いのひと手間が、強度を左右する大きなポイント。職人のあたたかい気配りが感じられます。

 

ステッチの入っていない横幅部分には捻引き処理が施され、これによって立体感と見た目の美しさ、そして操作性を上げているのです。

■ 内側の仕様@

内側の仕様は、札入れ2箇所、コインケース、コインケースの隣にマチ付きのポケット、カード入れ10箇所。

 

 

そしてカード入れの片側、上段部分はステッチが入っておらず、フリーに使えるポケットが装備されています。このポケットが、なかなか使い勝手が良いのです。

 

例えばキャッシュレス派の人であれば札入れスペースを使わず、このポケット部分に紙幣を入れると、財布内の見渡しが良くなります。現金派なら1万円札をこのポケットに入れておいて、崩したら札入れスペースに移動させるなど、紙幣の種類ごとに整理することも可能です。

 

 

また、カード入れに入りきらなかったカードを、このスペースにざっくりと入れておく、といった使い方もできます。

■ 内側の仕様A

コインケースと隣のポケットはそれぞれ片側にマチを確保。この遊びがあることで、中に入れたものの視認性が格段に上がります。財布を少し傾けてマチのある側にコインを寄せながら取り出しましょう。レジでの支払い時に、もたつきが軽減されます。

 

 

マチ付きポケットには一時的に保管しておきたいものや、失くしたくないものを入れておくのに好都合。領収書や交通機関のチケット、さらにカギを入れておく、なんてこともできます。

 

マチのおかげで見やすく、開きやすい反面、コインケースのファスナーの閉まりは甘いです。下の画像を見ると、ファスナーを最後まで渡しきった状態で若干のすきまができているのがわかります。蛇腹になっている革の部分が重なって響いているのです。上止めまで届かない以上、ファスナーが動いてしまう可能性があります。

 

 

コインケースのツマミと、スライダーの間にあるパーツ。この部分によって持ちやすくなりますが、外側のファスナーを閉めるためにはコインケースの上部にファスナーを置いた状態でないときれいに閉まりません。左右どちらかに垂れた状態で閉めることもできましたが、力ずくで正しい閉めかたではありませんし、外側からこのファスナー部分がぼこっと膨らみます。

 

 

■ 内側の仕様B

一番残念に思ったのがマチの革の折り返しの処理。しっかり折り目をつけて返されていますが、ボンドで留めているだけで、縫われていません。この折り返し部分は短く、ボンドが劣化してしまったら革が剥がれて上がってきてしまうでしょう。そこから破れたり、見栄えが悪くなったりするので、ここは縫っておいて欲しかったです…

 

 

■ 操作性

コインケースとマチ付きポケットは文句なしの使いやすさ。とにかく見やすく、言うことなしです。

 

 

札入れ部分は、1スペースに5枚程度入れられます。通常使用ならば全く問題ありません。多くのお札を持ち歩きたいという人や、レシートなど大量に入れたい人などには合わないでしょう。財布が膨れてファスナーが閉まらなくなります。

 

カード入れはぴったりサイズ。程良い硬さで取り出しやすく、革の薄さからも機能性を上げていると思われます。中にはおろしたての財布のカード入れは使いにくいと感じる人もいるかもしれませんが、次第に革がカードの厚みに慣れて広がっていくのでさほど気にするものではありません。

 

 

財布の高さが低いので、外側のファスナーに近い収納スペースは取り出しにくいです。一番上に入れたカードを取り出すときは必ずファスナーにあたります。

 

ラウンドファスナー財布でこのスリムなサイズ感というのが最大のメリットでもあるので仕方ないでしょう。すべては慣れです。

 

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ブライドルレザーの成長を楽しみ、その奥深い質感を存分に堪能できるプタハのブライドルラウンドファスナー長財布。

 

仕様や操作性に関して辛口意見も色々と挙げましたが、この価格帯でここまでの仕上がりは充分すぎるクオリティです。満足度は高く、買って損はないでしょう。企業努力や職人魂を感じられるロマンのつまった財布です。

店舗もおすすめ

山藤は東京都日本橋の人形町と、新宿の神楽坂で直営店を2店舗運営しています。さらに、本社・工房がある元浅草には「アトリエ YAMATOU」も。アトリエは予約不要で来店でき、プタハに触れられることはもちろん、山藤が作る世界観に没入できる革好きにとって魅力的なスポットです。

 

人形町ウォレテリア YAMATOU(公式サイトより引用)

 

旅先で革製品工房を見かけるとフラッと立ち寄ってしまうという方は、楽しめること請け合いです。また、革製品に詳しくないという方も職人と直接話をしながら知識を吸収すると、楽しい時間を過ごせるのではないでしょうか。

 

山藤公式サイト