他では扱いのない松阪牛で財布を作っている『さとり』。ここでは一番売れている長財布のレビューをしてみたいと思います。
全体的には高評価なのですが、財布を手に取って見られる場所がほとんど無いということで実店舗の評価が低くなりました。
さとりとはどんなブランド?
さとりは主に時計バンドを扱うBAMBI(バンビ)という会社が展開するブランドのひとつです。メンズ財布としてはGREDEER(グレディア)というブランドも人気です。
知名度はさほど高くありませんでしたが、人気漫画「百姓貴族」7巻でさとりの2つ折り財布が紹介され、読者の間で話題となったようです。
さとりは革小物の素材としては大変珍しい高級食肉「松坂牛」を使用しているシリーズです。独自ルートで仕入し、皮の仕立てから商品化までの全てを国内で行っています。
商品には個体識別番号の刻印が施され、どの松坂牛を使用しているのか確認できるそう。また、商品と一緒に三重県松阪肉公社が発効する素材証明書が付けられ、品質を保証しています。
時計バンドメーカーとしては昭和5年創業という長い歴史を持ち、埼玉、中国に自社工場を所有しています。
作業効率化・精密さを求めて機械的な生産を行う一方で、日本の丁寧なものづくりも重視しており、革製品では縫製職人なども在籍していることからオールマイティな製品づくりに取り組んでいる印象です。
「さとり」natural 長財布 HCK11レビュー
今回話題のさとりブランドの中から「長財布HCK11」をレビューします。
■ サイズ
財布のサイズは約横19cm、縦9.5cm、厚み1.5cmほど。スーツの胸ポケットやパンツに入れても響きにくいスリムタイプです。
■ 素材感
松坂牛の革に触れるのは初めてですが、非常にきめが細かくマットな質感をしています。毛穴の凹凸感はほぼなく、革を少し傾けたときに数か所トラがあるのが分かるくらいです。この革の特徴は、松坂牛は雌牛しかいないことが理由なのだそうです。
さとりの商品はトレーザビリティ(その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか)として商品に個体識別番号が刻印されています。
どんな松坂牛の革が使用されているのか、「株式会社 三重県松坂食肉公社」のホームページより検索が可能です。
http://www.mie-msk.co.jp/search?lang=ja
個体識別番号検索の牛皮用より、JPから始まる10桁の数字を入れて検索ボタンを押してみました。
私のもとに来た長財布は「はなゆきちゃん」という松坂牛なのだそう。お顔まで公開されています。
正直に言うと検索前は生きた証が見られる事に複雑な気分を抱くかと思っていました。
ですが実際に閲覧してみると、ご縁があって私のもとに来た牛だと愛おしくなり、食肉用のみでなく皮も有効に利用されたのだと思うと、立派な生涯であったと敬意を表したくなりました。命をいただくとはこういうことなのでしょう。
公式サイトでは使っていくうちに変化する革の経年変化が紹介されています。使いはじめからは想像もつかないほどの美しい艶が表れていくそうです。
これは黒毛和牛に含まれる良質な不飽和脂肪酸によるもの。人の手や摩擦が加わり、豊富な油分が革の表面に浮き出てくることでこのような姿に変化するのだそうです。
中のものに沿うように革がしっとりと馴染み、持ったその人だけの形に変化しているのにもグッときます。
カラーは硯(ブラック)、藍、葡萄(ワイン)、豊土(ブラウン)の4色。
内側は全てヌメ革を使用しています。表面の濃く深いカラーリングがより際立ち、シックになりすぎないデザインです。
■ 札スペース
札スペースは一か所です。入口側に約2cm程度の片マチが設けられ、出し入れしやすくなっています。下部にマチがないため収納できる枚数は限られますが、スリムタイプで限られたスペースを生かした作りになっています。
■ カードスロット
カードスロットは計10か所あります。財布を開いた2面に6か所、4か所と分かれているため、種類ごとにまとめて整理する事が可能です。
また、札側の方を支えるように使用することになるので、よく使用するカードをホールドしやすい札側にまとめておくのも良いでしょう。
■ マルチポケット
マチのないフリースペースのマルチポケットは2か所あり、札入れの奥に一か所、反対側のカードスロットの奥に一か所という配置になっています。
領収書やチケットなどを入れておくほか、予備の札を入れておくのも良いでしょう。
現金をおろし忘れたときや想定外の出費の際のお守りとして分けて保管しておくと役に立ちます。また、ご祝儀や香典用に折り目のない札をよけておくスペースにするのもおすすめです。
■ その他の仕様
各パーツの革の厚みは薄めですが硬く、脆さを感じません。また、革端がきれいに捻引きされていることで強度と耐久性を高めています。
縫製は短いピッチで細かく処理されており、糸と縫い穴のバランスも良く自然です。
おそらくナイロン系の撚糸を使用しており、毎日触れる財布のダメージに耐えられるよう工夫されています。
【価格】27,500円(税込み)
総評
松坂牛の革という珍しさだけでなく、品質が伴った美しい財布です。ブランド財布のような煌びやかさはありませんが、ビジネスシーンにふさわしく悪目立ちしない上品さが魅力でしょう。
通常なら破棄される運命だった革を利用し作られた商品は、SDGsの一環でもあります。
また、トレーザビリティは消費者の安心・安全に寄与するものですが、革製品はそれに加えて、愛着を増す要素ともなっています。
設立年 | – |
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主な価格帯 | 2万円台 |
年齢層 | 40代~50代 |
製造地 | 日本 |
品質 | 高品質 |