今回は丸みを帯びたデザインが特徴的なワイルドスワンズについて詳しく解説し、財布のレビューもしてみたいと思います。
バランスはとても良いと思います。
ワイルドスワンズの解説
ワイルドスワンズは、K’s Factoryが運営する、1998年にスタートした日本の皮革製品ブランドです。
特に「革」を全面に押し出したような質実剛健さ・素材感と、アールを活かした柔らかさが同居するWILDSWANSの原点Basicsシリーズは、一見して他の国内外ブランドとは違う個性を発揮しています。これ以外にも、スマートなシルエットのDignityシリーズ、革をキャンバスに見立てたようなSpecialなど、独特なラインナップを展開します。
長く使用される「道具」であることを標榜するメーカーは他にも数多くありますが、ワイルドスワンズは特にその打ち出しが強烈です。それは「エイジング・サポート」や「リペア&メインテナンス」を筆頭コンテンツに据える公式サイトや、革小物類を購入するとスリッカーと呼ばれるコバ磨き用の修復道具(写真下)が付いてくることなどにも現われています。
一方、2017年から始まったアトリエ(茨城県・竜ケ崎)見学ツアーでは、ブランドの歴史や作業風景を実際に見ることができ、ワークショップや限定品販売、また夏休みには小学生を対象とした体験型アトリエ見学なども実施しています。
20年という年月の中で醸成されてきた、他に無い個性と、ユーザー視点に立ったものづくりは、これから更に歴史を刻んでいくブランドであることを感じさせます。
ワイルドスワンズの財布徹底レビュー
それでは、メーカー自らが「WILDSWANSらしさが最もよく表現された長財布」と表現する、BASICシリーズの「BLISTER L」について詳しく見てみたいと思います。
外装に使用されるのは、「サドルプルアップ」というベルギー製の皮革ということですが、「革」の存在感が一般的長財布とは全く異なり、まるで厚切りにした「革」そのものを持っているような感覚です。
靴で言うなら、高級ビジネスシューズを売りにしているメーカーが多い中で、ヘビーデューティなワーキングブーツを造っているような志向の違いを感じます。
横から見ると、四層に重なったミルフィーユ状の分厚い「コバ」が美しく磨き込まれています。
この財布を購入した際の外箱は随分と縦長でしたが、それは冒頭でも触れたコバを磨くための道具が収まっているからです。敢えてコストをかけてこのような道具を付けても、それが必要となる頃には無くしてしまっていそうな気もしますが、長く使う道具であって欲しいという願いが込められているのだと思います。
またデザインに取り込まれた「アール」もこのシリーズの大きな特徴です。一般的な長財布で身開きタイプ(かぶせ蓋タイプ)のものには、このようなアールは見られません。ラウンドファスナータイプの場合は、ファスナーをスムーズに開く必要上、必然的にコーナーにアールが設けられますが、ここまで大きなアールはあまり見たことがありません。
主にデザイン的なものではありますが、工事現場で使用するヘビーデューティ仕様のノートパソコンや、カメラ用のジュラルミンケースに角が無いものが多いのと同じで、壊れない「道具」をイメージしたデザインなのではないかと思います。ちなみによく見ると、角だけでなく、中央部も緩やかなカーブを描いています。
次に、財布としての機能ですが、お札入れ1、小銭入れ1、大型ポケット2、カードポケット6の構成は、財布のサイズが大きく重い割には、かなり少ないと言えます。特にカードポケットに関しては、大型ポケット(お札入れ)の併用が必須になってくるでしょう。でも、このウォレットに関しては、それが正解なのかもしれません。カードや領収書をきっちり仕分けて収めるのではなく、分厚い革のファイルに、無造作に挟み込むような、そんな使い方が見えてきます。
こちらは小銭入れ。ファスナーの取り付け部分は一手間かけてあり、デザインも良いのですが、マチが無いためファスナーの奥に挟まった小銭などは取り出しにくく、あまり使い勝手が良いとは言えなさそうです。
一方で、この無骨とも言える構造がある意味功を奏しているのがお札入れ部分です。長財布のお札入れは、大きめのマチがついていて容量を調整できるようになっているものが主流だと思いますが、多くの場合、1万円札を収納するとマチの部分にお札の端が当たってしまうため、新札を収納したときなどは場合によってお札の端が折れてしまう要因となります。
このウォレットではカエルの口のような構造でマチが存在しないため、広々とした横幅となっており、横方向にはかなりの余裕があります。厚み方向には限界はありそうですが、それほどお札を束で持ち歩くことは通常ありませんので、ある意味ベストな構造かもしれません。
最後にバリエーションと価格ですが、2018年8月現在、ブラック・チョコ・ナチュラル・マリン・ブルガンディの5色展開、価格は税込42,660円となっています。
数ある長財布の中でも、パッケージングを含めて、「ザ・ヘビーデューティ」といった感のあるこの一本。スーツポケットには似合いませんが、「道具」好きなアウトドア派の方にはオススメの一本です。
総評
万人受けするデザインではありませんが、中にはこういう物があっても良いと思います。長財布マニアとしての評価も決して悪くありません。
品質もデザインも優れているので、変わった財布が欲しい人におすすめです。
設立年 | 1998年 |
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主な価格帯 | 20,000円~60,000円 |
年齢層 | 30代~40代 |
製造地 | 日本 |
品質 | 高い |
【追記】お店に行ってきた
ワイルドスワンズは全国に取扱店がありますが、東京の銀座に直営店もあります。
今回行ってきたのはWILDSWANS support&gallery。
こちらではワイルドスワンズの製品の販売の他、パターンオーダーの注文の受付、そしてメンテナンスや修理なども受け付けているとのこと。
ワイルドスワンズの財布はかなり高額なので、こうして実際に目で見て手に取ることができるのは良いですね。もちろんスタッフさんも相談に乗ってくれます。
銀座はガンゾ、ココマイスター、プレリーなど有名ブランドのお店が集まる場所でもあるので、それらと合わせて見るのもおすすめです。