【評価:75点】大峡製鞄(おおばせいほう)の解説と財布徹底レビュー

デザイン的な真新しさは無いものの、老舗として非常に品質の高い革製品を作ります。

今回は知る人ぞ知る上質革ブランドの大峡製鞄(おおばせいほう)について詳しく解説し、財布のレビューもしてみたいと思います。

目次

大峡製鞄の解説

昭和10年創業の大峽製鞄(おおばせいほう)は、皇室御用達の薬箱や、日本伝統の手縫い技術で作るランドセルなどを筆頭に、「品質と職人技」にこだわって、多くのビジネスバッグや、財布・名刺入れなどの革小物を産み出している老舗国産ブランドです。

最高級素材の革だけを使用する「品質」へのこだわりと、手縫いをはじめとする伝統ある「職人技」へのこだわり。 大峽製鞄は徹底したクラフトマンシップを受け継ぎ、手作りならではの美しい革製品を作り続けています。

その「質実剛健」なもの造りの源流は、戦国の世の大峽織部佐、甲斐の国・武田武士の流れを組むそうで、流行に左右されず長く所有するための商品作りを社のテーマとして据えています。鞄作りに携わる70余年の歴史を通じて追い求められたその哲学は。文部大臣賞連続7回、通産大臣賞、東京都知事賞11回、経済産業大臣賞等、数々の賞の受賞という形にも結実しています。

また同社がモノ造りの原点とするランドセル造りにおいては、最高級コードバンからクラリーノまで、二本針手縫いやハンドメイドの伝統技術を駆使して数百ものパーツを手作りでまとめ上げ、「良いものを大事に使えば長く持つ」との言葉を実践しています。そしてその技術を他に展開する形で、総手縫いアタッシェケース、ダレスバッグ、ビジネスバッグ、財布、革小物などが製造されています。

今回は大峡製鞄のラインナップから、「コードバン長束入れ通しマチ付き」長財布についてレビューしてみたいと思います。

大峡製鞄の財布徹底レビュー

大峽製鞄の「コードバン長束入れ通しマチ付き」長財布を見ての第一印象は、コンパクトでスティッチラインが美しく、通しマチで多くのお札を収納できそう、というものでした。

外装に用いられるコードバンは、当然のことながら表面がシルクのように滑らかで、美しい光沢を放ちます。

コードバンは馬の臀(でん)部から僅かに採れる革で、緻密な繊維質をその特徴とします。公式サイトによると同社のコードバンは、北フランスやポーランド産の馬を原皮としているようです。

こちらは縁を走るスティッチライン。端から数ミリ内側を真っ直ぐに走るラインは、色合い的にもコントラストが効いており、デザイン面での美しさも演出しています。

ちなみに、財布の名称に付いている「通しマチ」というのは、下の写真のようにお札を入れる部分の「マチ」が上部だけでなく全体に付いているものを言います。

マチが片側(上端)だけの場合は、出し入れがしやすいように収納部分を開くことは出来ますが、奥へ行くほど中が狭くなってしまうので、収納力は劣ります。通しマチではこれが無いため、お札を「束」で入れやすくなります。

それでも財布の厚みは手元のノギスで計ったところ、実測値で2.2cm程度。十分にコンパクト&スマートな財布に仕上がっていると言えると思います。

■ 小銭入れを省いたシンプルな長財布

さて、次に肝心の財布としての機能を見ていきたいと思います。まず始めに通しマチの札束入れ部を見てみます。

かなり収納力はありそうですが、実は公式サイトの説明を見るとなんと「マチが付いているので(試した事はありませんが)お札は相当入ります。」との説明。

メーカーが「試した事はありません」と言い切るのはびっくしりてしまいましたが、それではと当方で試したところ、少なくとも100万円程度の束はすっぽりと収まってしまい、まだ余裕がありそうなほどです。これは他ブランドの長財布とくらべても、こと札束の収納に関してはかなり優秀な部類だと思います。

但し注意しなければならない点が一つ。この財布には、小銭入れやファスナー付きの収納などが一切ついていません。カード決済を前提とした財布なら良いかもしれませんが、お札は使用するとどうしても小銭が出来てしまうので、小銭入れを別に持ち歩かなければならないことになります。

そう考えると、冒頭でも触れたように、確かに本体はスマート・コンパクトではありますが、小銭入れがない割には「普通の」コンパクトさと言えると思います。

次にカード収納について見てみます。財布を開くと、横向きのカードポケットが4つ、反対側に縦向きのカード入れが7つ装備されています。カードの挿入部分は少し余裕があって(いわゆるキツキツでは無く)、楽に入れられそうです。

ただ、横向きの上の二段と縦向きの七段は、いずれもポケットが深すぎるように感じました。これでは何のカードを入れたか、一瞥しただけでは判断がしにくい上に、取り出すときにも苦労しそうです。もう少し浅くするか、取り出し部にカーブをつけるなどの工夫が欲しいところです。

これ以外に、横向きの大きなフリーポケットが3箇所あり、容量的にも十分で、レシートやちょっとしたメモなどを挟んでおくのに重宝しそうです。

■ 質実剛健で長く使用できそうなビジネスウォレット

少々辛口のレビューとはなってしまいましたが、全体としてこの財布を見ると、無骨ですが、職人がしっかりと作ったシンプルで長く付き合うことのできそうな財布、と言えそうです。革がかなり硬めで、手にした時の重厚感も格別なものがあります。

また、コードバンとしては珍しく赤などのカラーバリエーションが用意されており、ビジネスウーマンの相棒にもなってくれそうな一本です。

【総評】

大峡製鞄の残念な点は、取り扱い店が東京・大阪・名古屋・仙台など大都市の一部に限られること。その点でちょっと評価が下がりました。

また公式サイトの商品ページの情報量がもう少し豊富だと購入に至りやすいのかなと思うので、その辺は今後に期待したいと思います。

設立年1935年
主な価格帯35,000円~50,000円
年齢層40代以上が多い
製造地日本
品質日本最高峰
人気ブランドトップ5
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