クラフストのベストセラーのひとつとして挙げられるシェルコードバンラウンドファスナー長財布。
外装にコードバン(アメリカ産の最高級シェルコードバン)、内装にはイタリアンレザー、そしてファスナーにはYKKの最高品質の『エクセラ』を使用したこだわりの長財布です。
後述しますが、素材へのこだわりだけでなく強度にもこだわり、10年使い続けられる財布になっています。
【タイプ】ラウンドファスナー
【外装】シェルコードバン
【内装】イタリアンレザー、一部にコットンとレーヨンの混合生地
【価格】79,500円(税込み)
評価内容
■ 素材
この財布で使用されている素材「シェルコードバン」は、アメリカ・シカゴの老舗皮革鞣しメーカー、「ホーウィン社」のもの。財布表面を贅沢に彩っています。
コードバンとは、農耕馬の臀部の内側にあるコラーゲン層からできた革のことです。牛革の何倍もの強度を持ち、非常に頑丈で耐久性があります。
そしてシェルコードバンとは、コードバンにたっぷりのオイルを染みこませたものです。一般的なコードバンより耐久性が増し、また表面の美しい光沢感やしっとりした触り心地も楽しめます。
実際に表面を観察してみると、嫌味のないきれいな輝きとうるおいを感じました。また、一見ワントーンに見えますが、近くで見ると全体に小さくシミのようない部分や自然な色ムラなどが見られ、天然素材ならではの個性的な姿を見せてくれています。
なお、シェルコードバンという名前はホーウィン社の商標登録です。コードバンを扱う皮革鞣しメーカーは他にもありますが、ホーウィン社は特に評判が高く、鞣し技術・仕上がりの美しさは飛びぬけていると言います。
ホーウィン社のコードバンを採用する日本の著名ブランドは多く、クラフストのほかに、キプリス、ココマイスター、ガンゾなどが挙げられます。
内側はタンニン鞣しの牛革です。また、目につきにくい底部分や収納スペースの奥はコットンとレーヨンを混合させたナイロンのような素材が使われています。
■ 仕様
形状はベーシックなラウンドファスナー長財布です。サイズも横19.5cm、縦10cm、厚み2cmとよくあるサイズ感です。
3面に渡したファスナーをぐるりと開けると、真ん中にコンケース、その左右に札スペースと8つのカードスロット、そして3つのフリーポケットが備えられています。
■ コインケース
コインケースは長財布を仕切るように真ん中の横幅いっぱいに作られており、たくさん入ります。
しかし、ファスナーの下止部分のみ革のパーツが配置され開閉部分が短くなっていました。本来は横幅いっぱいまでファスナーを渡していたほうが開きが良くなり、より見やすくなります(下の写真)。
この革パーツがある理由についてクラフストに問い合わせたところ、ファスナーの止め部分の生地のほつれを防ぐ効果と、ファスナー生地の裁断部分を隠し細部を美しく見せるためということでした。納得です。
財布をやや斜めに傾けてコインを寄せれば、視線を移すことなく一度にたくさんのコインの種類をチェックできて、かつ指も入れやすく便利です。
■ カードスロット
カードスロットは左右に4箇所ずつの計8枚を収納できます。
さまざまな長財布を見てきた中ではこのカード収納数は少ないほうですが、よく使用するクレジットカード、免許証などの身分証、キャッシュカード類はしっかり入るでしょう。
頻度は多くはないものの時々使用機会のあるカード、例えば美容院のカードやゴルフの会員証などは厳選する必要があるかもしれません。
カードスロットの横幅サイズは約9cmで、最初はやや窮屈さはあるものの革が馴染めば複数枚収納もいけそうです。財布を実際に使っていきながらカードの保有数を調整するのが良いと思います。
■ 札スペース&フリーポケット
中央のコインケースの両サイドにあるのが札スペースです。開閉部にはマチがついて大きく開き、出し入れしやすくなっています。財布を閉じたときにマチも内側にたたみこまれるので、マチの端(コインケース側orカードスロット側)のどちらかに札を寄せておきましょう。
フリーポケットは両サイドのカードスロットの奥とコインケースの片面の計3ヶ所。領収書、乗車券、ちょっとした覚え書きなどを入れておけます。
札スペースに入れたときに札の端が折れて気になる方やカードが見えにくいと思う方には、カードスロットの奥のフリーポケットに札を収納しても良いでしょう。
■ ファスナー
ファスナーはエクセラを使用しています。滑りが良くスムーズな動きで、かつ良い音が鳴ります。長く愛用するには良いパーツを採用している財布を選ぶことが大切です。
■ 縫製・その他
縫製はどこを見ても均一できれいです。
縫い穴と糸のバランスもちょうど良く、縫い終わりや負荷のかかりやすい部分は二重に縫われており安心できます。
この財布のデメリット
■ ツマミ
ここまでは好印象なこの財布の唯一の難点がファスナーのツマミです。
CRAFSTOのロゴが入っているオリジナル感、長さや厚みは申し分ないのですが、角がガタガタしているのが目立ちます。
面取りがされてない鋭角なフォルムのため、角が指に当たって少し痛いときもありました。ツマミ平面を大きく指で包むようにして持つのが良いでしょう。
壊れにくい財布にするためのこだわり
クラフストは『10年後も使える財布』というコンセプトを重視しています。そのためには当然財布が丈夫である必要があり、数々の工夫をしています。
1.マチ
ラウンドファスナータイプの財布を開くと、「マチ」という部分があります。
その中でも赤丸で囲ったヶ所は何度も開くうちに糸がほつれて剥がれてしまうことがあります。
しかしそこにナイロンのテープを貼って補強することで、万が一縫製が取れてしまってもマチ自体が取れないようになっています。
2.カードポケット
カードポケットは赤枠で囲ったヶ所を縫製しています。やはりそこも何度もカードを出し入れするうちに糸がほつれてしまうことがあります。
しかしそこにも補強テープを貼ってあるので、一ヶ所糸がほつれても赤枠のヶ所全体が取れないようになっています。
3.フリーポケット
フリーポケット(Suicaが入っている所)は指をひっかけて広げて使う場合がほとんどです。
そうすると何度も指をかけるうちにこの部分の革が剥がれてくることがあります。
そうならないように赤線のヶ所を縫製して補強をしています。
他社製では下の写真のように、補強のための縫製がされてないことがほとんどです。
(線は付いていますが縫っていない状態です)
4.引き手
引き手を何度も触っているうちに壊れてくることがありますが、クラフストでは金属素材を使っているため、壊れる心配はありません。
以上、壊れにい財布にするためにクラフストがしている4つの対策をご紹介しました。
【総評】
シェルコードバンの美しさを全面にアピールしたベーシックなデザインの良い財布です。
ひねりのあるデザインや変わった形の財布というのは、検討段階や購入時には心が踊るもの。しかしながら、その反面使い方のクセが強い場合もあります。そのクセとユーザーの勝手がマッチしなければ、難点を感じながら我慢して使うことになるか、短期間でサヨナラするという結末もあり得ます。
形が普通だということは、誰が使っても違和感がないということです。必要なスペースはしっかり確保されて過不足がないことが、シェルコードバンを長く楽しめるということでもあります。
使えば使うほど革に光沢感が増していくので、何度も新しい美しさと出会えます。余計なことを考えなくて良い、革を楽しめる財布というのはこのことでしょう。
【価格】79,500円(税込み)
人気1位と2位の長財布
長財布だと以下の2つが売れているようです。
1 ブライドルレザー ラウンドファスナー長財布
この財布の特徴
外装には英国産の最高級ブライドルレザーを使用。内装にはイタリア・ロスティバーレ社のイタリアンレザーが使われており、白いヌメ革よりも落ち着いた大人の雰囲気があります。長く愛されているラウンド長財布です。
価格 | 39,600円(税込み) |
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評価 | |
備考 | 外装はブライドルレザー・内装はイタリアンレザー・日本製 |
2 シェルコードバン ラウンドファスナー長財布
この財布の特徴
当ページでレビューした長財布です。ココマイスターやガンゾなど他社のシェルコードバンの長財布は全面にシェルコードバンを使うことで10万円以上しますが、この財布は内部にイタリアンレザーを使用することで7万円台まで価格を抑えています。非常にお得だと思います。
価格 | 79,500円(税込み) |
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評価 | |
備考 | 外装はシェルコードバンを・内部はイタリアンレザー・日本製 |